日本列島を縦断するSuica

日本列島を縦断するSuica

電子マネーには、鉄道・バスの乗車券として使う交通系電子マネーとコンビニやスーパーでのショッピングに使う買い物系電子マネーとがある。

 

交通系電子マネーは、JR東日本が2001年に発行したSuicaに始まる。「Suicaイオカード」と「Suica定期券」の2種類があり、どちらもプリペイド型で現在の発行枚数は2000万枚を超える。JR東日本の首都圏、新潟・仙台圏で利用できるが、04年からはチャージ機能を利用して最大2万円まで入金して買い物もできるようになり、その性格を大きく変えた。鉄道事業のコスト削減だけでなく、流通・物販の拡大を図るツールとして、JR東日本の経営戦略の中で重要な役割を担うようになったのだ。

 

Suicaを利用できる加盟店は、最初は駅構内のキオスクやコンビニに限られていたが(これを駅ナカと呼んだ)、今は、市中のコンビニやスーパー、ファミリーレストランなどでも利用できるようになった。これを街ナカ戦略と呼び、現在、駅ナカと街ナカをあわせて、2万3000店の加盟店がある。ちなみに決済の仕組み作りやデータ処理についてはJR東日本に関係の深いUCカードの支援を受けている。

 

携帯電話に搭載されたモバイルSuicaも登場している。こちらはカード式のSuica同様に電車の乗車や電子マネーとして使えるほかに、あらかじめクレジットカードを登録しておくと、いつでもどこでもチャージできるという利点がある。以前はJR東日本のハウスカードであるビューカードのみの特権だったが、今はほとんどすべてのクレジットカードが対象になっている。

 

もう一つの特徴は、Suicaを軸とした他の鉄道との相互利用である。すでにJR西日本が発行するSuica型電子マネー「ICOCA」とは互いに利用できるようになっている。今後はJR東海のTOICA、JR北海道のKitaca、JR九州のSUGOCAとも相互利用が決定しており(すべてがSuica型電子マネー)、2~3年後にはSuica一枚で、北から南まで日本列島を縦断できるようになるだろう。