関西の交通系電子マネー「PiTaPa」

関西の交通系電子マネー「PiTaPa」

一方、関西圏でも私鉄連合が発行するPiTaPaというIC乗車券がある。こちらはプリペイドのSuica型ではなく、独自仕様の後払い型(ポストペイ)で、支払いは1ヵ月後に口座から引き落としになる(三井住友カードがデータ処理など裏方を担当しており、普及に貢献している)。

 

この方式のよいところは、後払いのために乗車回数に応じて割引を受けるなど、プリペイド型にはない魅力があることだ。PiTaPaが後払い方式を採用したのは、関西人の気風も関係しているといわれる。大阪の乗客は初乗り運賃を取られることに抵抗をみせるのだと、複数の鉄道関係者から聞いたことがある。130円の初乗り運賃をとられても束京の人は文句を言わない。しかし、大阪人にはこれが我慢できない。

 

公共交通機関なのだから手持ちのお金の有無にかかわらず乗せよ、という声が強かったことも、後払い方式採用に関与したというのである。「運賃割引をしやすいように」という理由もある。JRと私鉄の競合路線が多い関西では、割引が当たり前になっている。前払いだと割引は難しいが、後払いなら利用実績をまとめてから個々に対応できる。すでに「利用回数割引」「区間指定割引」など何種類もの割引サービスを実施している。

 

PiTaPaは同じ関西圏のICOCAとの相互利用は実現しているが、Suicaとはまだ実現していない。それはこうした独自の料金体系があるためとみられる。